人類、正しさなんてここにはないよ

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『シン・ウルトラマン』怪獣、特撮、そしてヒーローの孤独

映画館のチケット代は年々高くなるが、怪獣映画しかりディザスター映画しかり、大画面・超音響の価値ある映画はどうしても映画館派なのであった。

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85/100点

前半のテンポが怒涛。ネロンガにザラブにメフィラスに、こんなに濃縮されたエンタメ浴びていいんですか?、と呆気に取られていると後半は腰を据えてウルトラマンを描いていく。ゼットンが出てから中弛みとも思わないが、ゼットンのCGは安っぽくて残念。
不思議なことに特撮の怪人やスーツアクターっぽさは許容範囲なのにCGの出来は気になるんだよな……
とにかく怪獣プロレスとしてのウルトラマン、め~っちゃ楽しい。
ベストキャラクター賞は満場一致でメフィラスだろう。山本耕史の底知れない怪しさが光る。


悪いところを言わせてもらうと、キャラの8割はスベッている
人類の滅亡瀬戸際で悠長に同僚のペースを尊重する船縁、無理やりクセ動作を行う浅見など、人間味が感じられず、不自然な演技も浮いている。
各所のサービスサービスがハマっていないというか、こちらもスベっている感。
人間には興味が然程ないのか、もっと魅力的に撮れただろうに弛んだ撮り方をする箇所も多くあった。
諸々、人間の描き方としては物足りない。浅見くんがもう少し生き生きしてたらなぁ!相棒の関係がもっとエモーショナル爆発していたはずなのに、本当に惜しい……
浅見に限らず船縁も……滝は頑張っている。田村班長は合格なので禍特隊のドラマをもっとちゃんとくれよ!


だが、悪い点を補って余りある魅力がある。
ウルトラマンの優しさと強さに、胸を打たれる。
どうして苦しくなるのだろう。どうして寂しくなるのだろう。
全霊をかけて戦うウルトラマンを見て感じるのは、健気とも違う、可哀想でもない。
崇拝とも言えない。
だが、鮮烈なまでの気高さ、その高潔さに心が洗われる。
ただ美しがっていてはいけない、それに応えるだけの人間でなければ、という気持ちを引き起こされる。自分のためでなく強くあれたらと願う。
祈りのような作品だ。


シンエヴァにはかなり失望してしまったが、このような作品を作れるのであれば、庵野監督には今後もずっと作品を作り続けてほしいと思える、そんな作品だった。


抜けるような青空のエンディングからの米津玄師『M87』は傾聴必須。

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