スピルバーグの自伝映画と聞いてこの映画を選んだ人も多いだろう。
かくいう我もその一人。
しかし、この映画はスピルバーグの話ではない。
スピルバーグになる前のサム・フェイブルマンという少年の話。
そこを履き違えると公開初日に映画館へ駆けこんだ我のように、とんだガッカリ映画になるので要注意。
YOU注意だ。
60/100点
期待値が高すぎたので低めのスコアに。
スピルバーグ映画と言えばジョーズ、E.T、インディジョーンズ、ジュラシックパーク、バックトゥザフューチャーと大作だけでも枚挙に暇がないが、この映画にそれらのエッセンスを期待すると失望するであろう。
我のように。
期待している映画こそあまり前情報を入れずに行く人間のため、さ~て、いよいよここからだな……!と盛り上がった瞬間映画が終わった。
は?
おい。
映画監督としての苦節や波乱を見たかったのに、ボリス伯父さんの暗示やらも映画監督になる前で終わったら意味ないじゃろがい。
この映画は、とにかく、映画が好きな普通の少年の話なのだ。
本当に何かが好きな人間は勝手に行動に移し、止められないものだが、サミーもそう。
道具や設備は工夫で補う。
いじめっ子の狼狽や、家族を繋ぎとめるため父親が家を購入したシーンなど、なかなかエモいシーンはあるが、特別この映画が傑出しているわけではない。
むしろ、心の動きはありふれていて普遍的ですらある。
母親の秘密に傷付くサムの姿は、どこにでもいるごく普通の少年だ。
だからこそ大衆のための映画が作れるのかもしれないが、この映画には、現実を変える映画の魔法を期待して見に行ったのだ。
スピルバーグではなくサミー・フェイブルマンと知っていたら、映画館案件ではなかったかもしれない。
勝手に期待していたものと見せられたものが異なっていた、それだけである。