映画外で炎上していた本作だが、作品とその製作者は分けて考えるタイプなので面白ければぜんぜん(作品は)推していくが?のスタンスで視聴。
56/100点
予告ではハッピー☆お馬鹿☆コメディかと思っていたが、生半可コメディだった。
バービーに興味ナシの若い層にも、かつて遊んでいた大人にも見てほしいと欲張った結果なのか、描写がどっちつかず。
女児・女性の夢が詰まったおもちゃとしてのバービー、バービーへの社会の視線、どう料理するか面白そうな題材なのだが……
振り切れず、なんかいい話風に終わったな?としか言えない。
バービーが絶対のバービーワールドにおいて、ボーイフレンドのケンは圧倒的弱者で、面白かったが哀れだったな。
哀れ役はライアン・ゴズリングにしときゃいいと思ってる節ない?
コメディとしての面白さは、ほぼケンの活躍だった。めっちゃホモソーシャル。
ケン達だってアイデンティティの肯定と存在意義の獲得に躍起なのだ。
おもちゃにとってはアイデンティティである”設定”を、「それはただの設定。”真のお前”ではない」と否定しちゃうのって惨いと思うんだよね我は。
エンディングがいい感じで騙されそうになるが、結論は全部誤魔化されて中途半端なのでモヤモヤした気持ちが残る。
迷うって、変化するって、生きるって素晴らしい!って人間賛歌じゃん。
あの選択で終わるの結局おもちゃ、バービーが人間の下位存在という前提があって成り立つのよな。おもちゃはおもちゃ、別の存在やん。
人間賛歌は好きなのだが、バービーの映画でそれやる?……というか、シンプルにコメディ感のないラスト。プラダを着た悪魔かな?
ビリーアイリッシュの「what was I made for?」がいくらエモくても流されてはいけない。
主役のバービーは持ち主のメンタルの影響で自己探求の苦しみを植え付けられバービーでいられなくなってしまうし、自己肯定しかない夢と憧れのバービー人形は現実に負けてしまう。
現実世界に飛び出したバービーの大冒険!のような痛快さもないし、現実の描写もばかにコミカルで寒い。そのノリで行くなら突っ走れ、覚悟を決めろ。
期待されるようなハッピーさ・スカッと感はなく、全体的に寂しい映画だった。