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【正直感想】『すずめの戸締り』震災と信仰と親子 と、ダイジン

金ローで放送されたと同時にサブスクに配信されたので視聴。
大まかなあらすじは以下の通り。

地震を封じていた要石が逃げ出し、地震を封じる”閉じ師”の草太(イケメン)が呪いで椅子に変えられてしまう。
地震を封じるため、草太の呪いを解くため、鈴芽は草太と要石の変化した猫・ダイジンを追いかける。

youtu.be



65/100点


それにしてもすごいジブリオマージュだった。
ハウル風の青年、草太。ルージュの伝言


個人的な好みでは すずめの戸締り>>君の名は>>天気の子 かな。
アニメーションも曲のマッチ度も『君の名は』の方が気合入っているように感じるが、『すずめの戸締り』の方が題材は興味がある。


その瞬間こそ描写しないものの、ガッツリ震災を扱っているので、何度も見るには重い作品ではある。
現実の重みがあるからこそ、逃げられない緊迫感が作品の力になっておりストーリーの説得力なのだ。

センシティブな題材ではあるが、震災国日本ならではの、信仰と結びついたファンタジー映画だったと思う。

しかし震災を食い止める瀬戸際の人間がボランティアとは。
こんな破綻したシステムじゃ世界の終わりも秒読みである。
信仰心が薄れていく日本人、そして閉じ師の危機感の薄さ。
”閉じ師”も要石もその重要性を周知させてけよ!!バカ!!!


神との契約についてはネットで読んだのが分かりやすく、読み取る力・伝える力を持つオタク超・尊敬である。
いわく、ダイジンが抜けかけて痩せ細っていたのは信仰と崇敬による神の力を失っていたせい。
草太も序盤は要石を道具としか見ていなかったが、鈴芽と草太が要石の重要性を認識し真摯な祈りで神としての力を取り戻した
(要約)と。


で、ストーリーについて。

素直にストーリーの筋を追うと、鈴芽と草太の恋愛、マ~ジでどうでもよい。
まったく感情移入できるドラマもエモさもない。

見ているこっちは全然「草太さん草太さん草太さん!」じゃないんだよ。

キャラクター的にエモーショナルなシーンで言えば環おばさんと鈴芽のSAでのノーブレーキ舌戦はよかった。お互い刺し合って血だらけになるのと、その後含めて疑似親子のすれ違いや葛藤はよく描けていると思う。

キャラクターを好きになる気持ちはダイジンに持っていかれてしまった。

邪悪なクソ猫 → こいつ、なんなん → あっ…… → やめたげてよぉ!(すずめイケメンにしか興味なくて草。) → (嗚咽)

環とすずめの関係と同じ、「うちの子になる?」という一言から始まったのに、すずめの子にはなれなかったダイジン。
誰からも愛されることも大事に思われることもなく、ただ使命を受け入れて要石に戻るダイジン。
あまりにも残酷。
あどけない声の力もデカいかな……

孤独で永い、辛い使命を背負ったダイジンの心には寄り添うこともなく、躊躇いなしでお前が要石なんだからお前が戻れば解決!といった暴力的な選択。これは解決と言っていいのか?使命を交代できるんだから代替わりしてもいいと思うんだ。
せめて最後にダイジンを気にかけたり、要石を訪れたりする場面があれば大きく違ったのに、草太と再会してウキウキのすずめで終わっては、ただのイケメン好きハッピー女としか思えない。


芹澤は新海の好きそうなオタ受けしそうな面白キャラでしたね。
神木隆之介の信頼関係構築力はオタクとは思えないエグさ。
ロードムービー部分が好きという声も聴くが、我は特に。