奇妙な隣人ばかりの古ぼけた家に引っ越してきたジョーンズ一家。
一人娘のコララインは、両親に自分がないがしろにされていると感じ、新生活にも乗り気でない。
まるで『千と千尋の神隠し』のオープニングだが、コララインは壁に塗りこめられた隠し扉を見つけ……
69/100点
ストップモーションアニメ全般、甘めに点数つけている自覚はある。
のでご容赦くだされ
ストップモーションと言えばのライカスタジオだが、その作品群でも面白さなら一番だと確信している本作。
オリジナルじゃなく原作があるからか、原作がSFファンタジーのヒューゴー賞を受賞した実力派だからか。
現実に不満をもつ少女が、非日常で命がけの危機を経験し、変化する。
児童文学の王道展開だが、優れた作品は飽きさせない。
それに何より、我は”日常に侵食してくる非日常”があまりにも好きだ。
ストップモーション大好き侍として心苦しさもあるが、スト(ップ)モー(ション)は風呂敷を広げすぎる壮大な設定には不向きだとも感じていて、
ファンタジー×ストモーの相性はグンバツなのだが、冒険の規模は本作ぐらいが丁度いいと思っちまうんだよな。
演出やアニメーション、ストーリーで印象的なシーンは作れても、画力で現実を超えるのは難しい。
人の手で作った絶景には限界があるので、現実の絶景が持つエネルギー、質感、情報量全てにおいて劣ってしまうのは仕方ないんだ。
しかし本作、本当に美的センスがたまらんのである。
実写とは別路線で余裕で戦える。
刺繍&人形製作シーンで始まるオープニングロールも音楽まで良く、不気味な『トイ・ストーリー』といった趣。
ちなみに本作、アニメーションのアカデミー賞と言われるアニー賞でキャラデザ、音楽、美術で受賞している。
美術賞を受賞しているのは『ベイマックス』、『リメンバーミー』のコンセプトアートを担当している上杉忠弘。
黄色いレインコート姿のコラライン、灰色の色彩、奇妙なほどデフォルメの強いキャラデザといい、推しホラゲー『リトルナイトメア』に通じるアートセンスがある。
『ジャイアント・ピーチ』『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の監督ヘンリー・セリックだけあって、別世界の不穏なカラフルさも楽しさも満点。
極端な話、コララインはストモーに興味なくとも面白いので、ストモー好きとしては控えめに言って義務教育に取り入れたい1作だ。
ストップモーション同好の士、聞こえるか。